1.ヨーロッパのバスケットボールは強いのか?
これはFIBA(国際バスケットボール連盟)が発表している国別のランキングです(2019年9月16日発表。男子代表)。
順位 |
国名 |
1 |
アメリカ |
2 |
スペイン |
3 |
オーストラリア |
4 |
アルゼンチン |
5 |
フランス |
6 |
セルビア |
7 |
ギリシャ |
8 |
リトアニア |
9 |
ロシア |
10 |
チェコ |
背景を黄色にした国はヨーロッパの国です。ベスト10のうち、実に7か国が欧州の国なのです。アジアとアフリカの国は全く入っていません。
なぜヨーロッパの国のバスケットボールは強いのでしょうか?筆者はその秘訣を探るために欧州強豪国を中心に10か国以上を実際に訪れ視察・調査を行なってきました(黄色の国は全て訪問・調査しました。その他に数か国視察しました)。このウェブサイトではその結果のほんの一部ですが記します。記載内容は原則として視察・調査当時のものです。
2.ヨーロッパのバスケットボールの仕組み
(2-1) トップレベルのシステム
ヨーロッパのバスケットはどのような仕組みになっているのでしょうか。ヨーロッパ各国ではほぼ全ての国でトップレベルの国内リーグが設定されています(ここでいうトップレベルというのはそれぞれの年齢で競技力が高いという意味では無く、年齢等の区切りなしに最もレベルが高いカテゴリーという意味です)。多くの場合、1部リーグ、2部リーグ、というような階層制になっています。本サイトで紹介している国では1部リーグは男子はプロフェッショナルです。女子はいくつかの国でプロです。
国内リーグの他に国際的なリーグもあります。例えばユーロリーグ、ユーロカップなどというリーグがあります。2018年の時点で主なものは4つほどあり、完全な階層制になっているわけではないものの、クラブの競技水準にほぼ準じて出場するリーグが分けられています。
トップのチームは現地では通常はシニアと称されます。その国の言語によってはセニョールなどいう読みになったりします。ただこのシニアという語は日本ではまだこなれていないので本サイトでは「トップチーム」という語を使って表現します。
(2―2) ヨーロッパには部活は無い? 〜育成期の概要とシステム〜
ヨーロッパでは少なくともバスケットボール種目に限っては日本のように学校の単位でチームを作って、しかも大きな規模で活動することはあまりありません。学校とは関係の無い各地域の民間のクラブやバスケットボールスクールで活動するのが主です。1〜2歳区切りでチームを作り、同じクラブやバスケットボールスクールの中で年齢の違うチームをいくつか持つのが通例です。
クラブの仕組みはトップのチーム(年齢の区切りの無いチーム)を頂点としてピラミッド型の構成がクラブが多い(一部例外あり)。この場合は、トップのチームのすぐ下に2軍に相当するチームを持っているクラブも少なくありません。そして、原則として近隣のチームとリーグを形成し試合を行うことが通例です。それが主たる試合になります。
図1 欧州に典型的に見られるバスケットボールクラブのイメージ
この記事の動画版はこちら↓
スペイン フランス イタリア セルビア スロベニア クロアチア チェコ トルコ リトアニア ギリシャ ロシア
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
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論文その他(ヨーロッパのバスケットボール関連のもののみ)
1.出町一郎(2018):トルコ共和国のバスケットボール(第1報) トップリーグの運営システムとクラブの予算に着目して、専修大学スポーツ研究所紀要41、pp11-19
2.Ichiro DEMACHI, et al.(2018):Basketball in the Republic of Slovenia: a case
study of the Petrol Olimpija Basketball Club、健 玉川学園・玉川大学健康・スポーツ科学研究紀要18(2)、pp5-9
3.出町一郎(2019):トルコ共和国のバスケットボール(第2報) 育成年代を中心に、専修大学スポーツ研究所紀要42、pp21-31
4.Ichiro DEMACHI, et al.(2019):Basketball in the Republic of Croatia: a case
study of the Basketball Club Zagreb、健 玉川学園・玉川大学健康・スポーツ科学研究紀要19、pp49-56
5..Ichiro DEMACHI, et al.(2020):The Youth Training System for Basketball in
the Republic of Serbia: A Comparison with a Junior and Senior High School
Basketball Club in Japan、論叢 玉川大学教育学部紀要2019 第19号、pp89-97(査読有)
6..Ichiro DEMACHI, et al.(2020):Basketball in the Italian Republic: A case
study of the Mens Sana Siena、健 玉川学園・玉川大学健康・スポーツ科学研究紀要20、pp35-40
7.出町一郎(2020):リトアニア共和国のバスケットボール 育成組織に着目して、専修大学スポーツ研究所紀要43、pp25-33
など。
*CiNiiで検索すると、上記2,4,5,6あたりは発行年が1年若く表示されるようです(が、正しくは上記です)。
*このページに関するお問合せやお仕事のご依頼はこちらまでお願いします euro@demachi.net
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