【イタリア編 2】
2.停滞期から黄金期へ 〜オリンピア・ミラノ〜(その2)
ここではある日のオリンピア・ミラノのU―15チームの練習の様子を記述する。この日は土曜日で15時に練習が開始した。開始時間よりも前に準備ができた子どもたちは個人スキルを中心に練習している。メンバーは20人であった。欧州のクラブとしてはちょっと多い印象である。15時から約30分間別室にて次の試合の対戦相手のビデオを見て注意点を確認した。
コートに戻ると、ハイ・ニー・スキッピングやキャリオカなどで身体を動かし、その後ストレッチングを行った。次にウォークスルーに移行した。続いてこのウォークスルーを経てファーストブレークドリルを行い、そしてもう一度ボールを運んできて、待っているディフェンス5人とハーフコートの 5 on 5をする、というメニューを行った。最初のウォークスルーは少なくとも3つの動きがあり、ベーシックなカッティング、リプレイス、ポストアップ、コンビネーションプレイ、スクリーンプレイなどが盛り込まれたものであった。オプションもある。ファーストブレイクも原則となる形があり、それに沿って進めていた。
その後、次の試合の対戦クラブを想定したディフェンス中心の練習を行った。その上でハーフコートの5 on 5を行い、フリースローを挟んでベースラインからのアウトオブバウンズプレイの確認をした。再びフリースローを行い練習は終了。ここまで2時間ちょうどであった。
写真 オリンピア・ミラノのU-15チームの練習の様子
次にオリンピア・ミラノの育成組織のチームの試合の様子である。U−14チームの試合の模様を伝える。ここでは全体的な雰囲気を把握するために大づかみに記すことにしたい。オリンピア・ミラノのファーストオフェンスはナンバープレイから始めていた。両クラブともディフェンスはフルコートのマンツーマンがメインである。ファーストブレイクや1 on 1でかなりの部分の点数が入っていた。
オリンピア・ミラノ側の選手はゴール下のシュートは右側からは右手で左側からは左手で打つ場面が目立った。選手たちは試合前や試合中は声も出すけれど、拍手で盛り上げる場面が多い印象だった。ハーフタイムにはプロの試合のようにロッカールームに一度下がる。なお審判員は一人だけだった(ちなみにU−13の試合でも審判員は一人だけであった)。保護者の方も相当数見に来ており、ビデオを撮る方もかなり目についた。
写真 オリンピア・ミラノのU-14の試合風景
この記事の関連動画「ヨーロッパのバスケットボール[イタリア編1]オリンピア・ミラノ」はこちら
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*イタリアでは「モンテパスキ・シエーナ」(当時)にも、同クラブ全盛期に視察・調査した。その記録も別な機会に記したい。
*イタリアではバスケットボール連盟の幹部にイタリアの育成システム、コーチライセンス制度、プロリーグ等について詳細にインタビューしたのでその記録も別な機会に記したい。
*イタリアではローマ近郊のクラブの育成組織の練習を男女とも視察したのでその記録も別な機会に記したい。
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
*このページに関するお問合せ euro@demachi.net
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