【クロアチア編1】
0.クロアチアってどんな国?
クロアチアは中央ヨーロッパに位置する国です。以前はユーゴスラビアの一地域でしたが、1991年に独立を宣言しました。面積は約 5万7000平方キロメートルで九州の約1.5倍です。人口は約410万人(2018年)です。首都はザグレブで、通貨はクロアチア・クーナです。主要産業は観光業,製造業,不動産業等。気候は大陸性気候と地中海性気候があります。
バスケットボールの面では、代表は男子は世界トップレベル。女子代表は比較的上位にいます。国内リーグは男子は特定のクラブの優勝が多く、また一部のクラブは経済面で苦しんでいます。女子の国内リーグは最近は時期により数シーズンの覇権を握るクラブが出現しています。
1.財政危機を越えて 〜ツィボナ〜
ツィボナはクロアチアのバスケットボールクラブである。クロアチアの首都ザグレブを本拠としている。ツィボナのオフィスとホームアリーナはザグレブの比較的中心部にある。トラム沿いにあって便利なロケーションである。コートは1面しかとれないが、観客席は5400あり、観るという面ではとても良いアリーナである。コートの横にウェイトトレーニング等のスペースもある。
ツィボナのプロチームはクロアチアでも強豪である。元日本男子代表ヘッドコーチのジェリコ・パブリセビッチ氏が以前コーチをしていたこともある。育成組織にも力を入れていて、かつてはFCバルセロナに勝ったこともあるという。
まずその育成組織についてみてみる。14-15歳のチームを例にしたい。公式試合を見たところ、スターティングラインナップはだいたい180,185,190,198,205cmだった。いま一度確認したいのは14-15歳のチームだということである。しかも、クロアチア代表でもなく、ザグレブ選抜でもなく、一クラブのチームである。例えばこの205cmの子は、筆者が見たときは14歳だった。お父さんが215cmあるのでまだ背は伸びるであろう(父親は元プロバスケットボール選手)。その子が、この時点で3ポイントショットを打ち、ボールも運べて、フックシュートも決めていた。おまけにフルコートでディフェンスしていた。また例えば198cmの子は3ポイントシュートも打ち、スクープショットも打つ。シューティングガードに育ちそうな印象を受けた。ちなみにこの試合は審判は2人制で二人とも女性だった。
写真 ツィボナの育成組織の公式戦の様子
コーチに話しを聞いたところ、一人を除いて全員同じメニューでオールラウンドに育てる方針だという。その一人にも練習させたいけれどいまは過体重のため無理させられないので制限しているだけであって、痩せたら他の選手と同様に練習させるとのことであった。原則として全員にハンドリング、アウトサイドショット、ドリブル等全部練習させていると話していた。
コーチは今年のチームの中の5-6人はすごいタレントを持っていると言う。その全員ではないけれど、確かにクロアチア代表さえ狙えるような素材もいた。そうした選手をどのように選んでいるかというと、ザグレブ近郊のバスケットボールスクールに100-150人の選手が所属していてそこからめぼしい選手を連れてきているとのことであった。
またこの試合では相手チームが半分以上の時間帯をゾーン・ディフェンスで守っていたが、試合後にそれについてディスカッションしたところ、コーチの持論としてU-14はゾーン・ディフェンスを禁止した方が良い、あるいは少なくとも短時間に制限すべきとのことであった。なぜならこの年代でもっともしなくてはいけないことは「ディフェンスとの1
on 1の対峙の中で考える」ことだからという。この「考える」ということをマンツーマン・ディフェンスを通して学ぶべきと話していた。普段の練習の指導においてもこのことを踏まえているという。
*ツィボナのプロチームの方の記録は別な機会に記したい。
*クロアチアの他のクラブの記録は別な機会に記したい。
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
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