【クロアチア編2】
2.財政危機を越えて 〜ツィボナ〜 [プロチーム編]
ツィボナのプロチームの方をみたい。このプロチームはクロアチア国内リーグでは2020年までに28シーズン中19回優勝しておりクロアチアを代表するクラブである。ユーロリーグの出場歴も多い。
シーズン中の練習回数は原則として1日2回である。1回目となる午前の練習は個人スキル中心のもので、2回目の午後の練習は戦術中心である。午前の練習は試合の翌日やその他疲労の状況等で怪我人のリハビリだけになったり、若手選手のみになったり、あるいはキャンセルになったりすることもある。ある1週間の練習予定を表に示す。ツィボナのスケジュールは水曜日から始まるのでそれに倣った。
表 ツィボナのプロチームの週間スケジュールの例
曜日 |
時間 |
内容 |
水曜 |
10:00-11:00 |
練習 |
18:30開始 |
ユーロリーグゲーム(ホーム) |
|
木曜 |
ー |
コンサートのため練習無し |
金曜 |
10:30-12:30 |
練習 |
18:00-19:30 |
練習 |
|
土曜 |
10:00-11:00 |
練習 → 移動 |
日曜 |
ー |
ABAリーグゲーム(アウェイ) |
月曜 |
10:30-12:30 |
練習 |
18:30-20:30 |
練習 |
|
火曜 |
17:00-18:00 |
練習 |
練習は、作業灯のレベルの明るさの中で行う。ツィボナは後述(その3の予定)のような財政面での事情があるので仕方がないが、たださまざまなクラブを見た限りこのような感じで練習するのはそれほど珍しくはない。
ツィボナのプロチームのある日の練習を記す。この日は金曜日で試合の前々日であった。午前の練習は9人で行われた。
まずベースラインからベースラインへゆっくりドリブルで動く。この時スキップしたり、スライドステップしたり、10種類以上のヴァリエーションを消化していった。そして、ストレッチングを始めた。ダイナミックが多いもののスタティックも中に含まれていた。
その後、大きい選手と小さい選手に2グループに分かれた。大きい方の選手たちはクロス・スクリーンからのターンショット、サイドピックアンドロールからパスを受けてのショットなどを行った。小さい選手のグループはポールを立て、2回ドリブルチェンジしてからのショットというドリルに取り組んだ。シュートの種類を8つほど変えて次々にこなしていった。
大きい選手の方は次にベースラインでのアウトオブバウンズプレイの設定で、縦方向のオフボールスクリーンからのシュートを打ち、その後ミドルポストでレシーブしてからのショットを、フックシュートやドロップステップなど6つほどシュートの種類やステップを変えて行っていた。
小さい選手の方も次にベースラインからのアウトオブバウンズプレイをイメージしており、先ほどのポールをスクリーンに見立ててディフェンスをかわしてレシーブしてショットという形でいくつかの動きを試していった。
練習開始から50分ほど経ったところでグループの編成を変え、ゲームでのポジションをを意識した5人の組とそれ以外の4人に分かれた。5人の方ではハーフコート・オフェンスのナンバープレイのウォークスルーを始めた。1−4セットからの動きや、ホーンズからのセットなどが中心であった。4人の方はシューティングをいくつか行っていた。途中で選手の入れ替え等をしながら進めていった。この日は1時間15分ほどで終了した。
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*この日の夜の練習のデータは別な機会に記したい。
*ツィボナの財政状況の記録は別な機会に記したい。
*クロアチアの他のクラブの記録は別な機会に記したい。
*クロアチア・バスケットボール連盟幹部へのインタビューの結果は別な機会に記したい。
関連動画はこちら↓
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
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