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【フランス編 2】

2.パリの新生クラブ 〜メトロポリタン92〜(その1)

 メトロポリタン92はパリ市内のルヴァロワ=ペレというエリアにあるクラブである。トップチーム(男子)はフランス一部リーグに所属している。メトロポリタン92はパリ・バスケット・ラシンというクラブとルヴァロワ・スポーティング・クラブ・バケットというクラブが2007年に合併してできたクラブである(クラブ名称は合併当時とは若干変更になっている)。パリ・バスケット・ラシンにはフランス代表でNBA選手だったトニー・パーカーもかつて所属していたことがある。

 メトロポリタン92はトップチームの下の育成組織としてU―21、U―18、U―15、U―13のチームがあり、これらは全て男子チームである。育成組織の各年代のカテゴリーには表3−1−1のような名称がある。6歳から11歳はバスケットボール・スクールの方式で教える。このスクールの方は男女とも所属できる。都合6つのコートを持っているという。

表 メトロポリタン92の育成組織の状況

カテゴリー
名称
週当たり練習回数
U-13
バンジャマン
3回
U-15
ミニム
4回
U-18
カデ
5回
U-21
エスポワール
5〜6回

 メトロポリタン92のスクールの方の練習回数は週2回である。ただし、U−11の最上位グループだけ例外で週に3回練習する。1回あたりの練習時間はチームもスクールも原則1時間30分であるが、スクールの方は場合によっては1時間程度のこともある。シーズンは10月から4月までである。費用は1ヶ月あたり20ユーロである。これはU−21とプロを除くすべての育成組織のチームとスクールの選手が支払う。チームもスクールも同額である。エスポワール(U−21)はセミプロである。スクールの方は5号球を使用し、ゴールを低くする。実際に練習を見たところ、革製ではなくゴム製のボールを使用していた。

 こうしたスクールやチームの子どもたちに対する指導方針や指導哲学はどのようなものであろうか。これらに関して、メトロポリタン92のスクールのコーチ等のセドリック・ヴァイヤン氏とU−18チーム等のコーチのマーク・ヴィラス氏にインタビューを行った。

 まずメトロポリタン92のオフェンス面での指導方針を聞いたところ、U−13までは1 on 1の基礎を特に重視するという。加えて、ギブアンドゴーなどのシンプルな基本技術を教えるという。この年代まではスクリーン・プレイは指導しないとのことである。U−15のチームからスクリーン・プレイを教えていくと話していた。

 ディフェンス面では、基本的にはマンツーマン・ディフェンス、1 on 1をしっかり教える。これを最も重要なことと考えているという。理由は一人一人の責任が明確だからである。そしてU−13まではゾーン・ディンフェンスは教えない。U−15のチームからゾーン・ディフェンスを少しずつ教え始めるという。ただ、U−18のチームにしろ、U−21のチームにしろ、実際にゾーン・ディフェンスを使う時間は短時間のみである。

*メトロポリタン92のポジションの考え方、トライアウト、指導者の雇用の状況などについてフランス編3に記す予定である。

*フランスバスケットボール連盟にて、フランスの育成システム、プロチームのシステム、カップ戦の位置付け、フランス代表の運営の現状と問題点、等について、複数の担当者に詳細なインタビューを行ったが、これは別な機会に記したい。

フランス編1 フランス編2 フランス編3 フランス編4

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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]

●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ

*このページに関するお問合せ euro@demachi.net

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