【フランス編 3】
3.パリの新生クラブ 〜メトロポリタン92〜(その2)
ポジションについては、メトロポリタン92ではU−21のときに決める。U−18まではポジションははっきり決めず、全部のポジションに必要な練習を全員にやらせているという。ルヴァロワの考え方としては、18歳以下では最終的な身長がわからないので決められないというスタンスのことだった。18歳までは全部の練習をして下地を作った上で、U−21以降は何かに特化した選手育成が目標だそうである。
トライアウトについても聞いた。フランスではトライアウトのことをデテクションといい、メトロポリタン92は育成組織のチームのデテクションを2月〜4月ごろの間に計3〜4回行うという。スクールの方はデテクションは無く、誰でも入ることができる。またスクールは近くに住んでいる子のみが対象である。デテクションを通過した選手については、水準別にチームを組む。例えば、視察した年はU−15だけで4チームあった。またU−18は4チームあり、2〜4番目のレベルのチームは18歳の選手はおらず実質的にU−17の選手編成であった。視察時は最上位のU−18チームは全国〜ブロック(日本で言えば関東や近畿等の範囲)レベルで、2番目のレベルのチームはブロックレベル、3番目と4番目のチームは都道府県レベルであった。16〜17歳の選手の中には競技経験が1〜2年の選手も含まれていた。選手数は各チーム10人程度の模様である。全部で20チームを越すこともあると聞いた。
写真 メトロポリタン92のスクール(6-11歳)の練習の様子
指導者の状況も聞いてみた。メトロポリタン92では視察時は23チームがあったが、もちろんその全てにコーチがついている。クラブ内の複数のチームやスクールの指導をしているコーチもいる。女性コーチもいた。スクールの10〜11歳のクラスの一つを視察した際には、選手11人に対しコーチが3人ついて指導していた。給与についてはクラブの中でコーチだけで生活できている人はプロのトップチームを除いて5人程度で、他のコーチは夕方まで他の仕事をしてそのあと指導に来ているという。ちなみにメトロポリタン92のクラブのバスケットボールセクションの総予算はフランスのクラブの中で最も多い。クラブの職員数もフランスで最も多いこともあって、トップチームのサラリーはフランス国内では3番目である。
*フランスバスケットボール連盟にて、フランスの育成システム、プロチームのシステム、カップ戦の位置付け、フランス代表の運営の現状と問題点、等について、複数の担当者に詳細なインタビューを行ったが、これは別な機会に記したい。
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
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