【フランス編 4】
4. フランスの育成年代とプロの練習・試合の実情 〜フランスのコーチへのインタビューから〜
この節では特定のクラブの様子ではなく、もっと広く比較的一般的な状況について記したい。前述したルヴァロワのセドリック・ヴァイヤン氏とマーク・ヴィラス氏にフランス全体の様子を聞いた。まず育成年代について考えてみたい(表)。
まず練習の回数は表で挙げたルヴァロワのものとほぼ同じであるという。ただ、U−21の週5〜6回練習というのは全国レベルのチームの場合だとのことである。その下のレベルのチームは週2〜3回程度だという。1回あたりの練習時間はフランス中ほぼ全てのチームが1時間半くらいではないかとのことだった。
ポジションについては、フランスではU−18の時に決めるクラブが多い印象があるそうで、他の一部のクラブはU−21のときに決めていると考えているそうだ。指導方針については、オフェンス面に関しては前述のルヴァロワと同様にU−13までは1
on 1を徹底し、U−15からスクリーン・プレイなど複雑なプレイを少しずつ教えていくというものはフランス全体に比較的共通するのではないか、とのことであった。
表 フランスの育成組織の一般的な状況
カテゴリー |
名称 |
週当たり練習回数 | 1回当たり練習時間 |
U-13 |
バンジャマン |
3回 |
1時間30分 |
U-15 |
ミニム |
4回 |
1時間30分 |
U-18 |
カデ |
5回 |
1時間30分 |
U-21(全国レベル) |
エスポワール |
5−6回 |
1時間30分 |
U-21(一般レベル) |
エスポワール |
2−3回 |
1時間30分 |
次にフランスのプロのチームの状況について彼らに聞いてみた。週当たりの練習日数は5〜6日で、フランスのプロチームは1日に2回の練習が通常なので、回数としては週10回程度の練習である。
試合については主にリーグ戦とカップ戦がある。リーグ戦は男子はLNBと称され、一部リーグ(プロA)と二部リーグ(プロB)がある。女子も一部リーグと二部リーグがある。男子一部リーグを例にすれば近年は16クラブがホームアンドアウェイで総当たりで30ゲームを行い、上位クラブがプレーオフに進出し優勝を争うという形式である。原則は週1ゲームである。
この他に欧州をまたがる大会がある(ユーロリーグなど)。男子の方はユーロリーグに関して言えば少なくとも近年はあまり戦績は芳しくないと言える。例えば2010年以降2020年までではベスト4に残ったフランスのクラブは無い。女子はユーロリーグで2010年以降2020年までではベスト4に2度進出していたことがある。
関連動画はこちら↓
*フランスバスケットボール連盟にて、上記のほかに、カップ戦の位置付け、フランス代表の運営の現状と問題点、等について、複数の担当者に詳細なインタビューを行ったが、これは別な機会に記したい。
---
スペイン フランス イタリア セルビア スロベニア クロアチア チェコ トルコ リトアニア ギリシャ ロシア
---
文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
*このページに関するお問合せ euro@demachi.net
---
The School of Basketball PC用詳細ページ