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【ギリシャ編 2】

2.熱狂的なファン 〜イリシアコスAO〜

 アテネの東側のゾグラフォウというエリアの中にイリシアという小さな地区がある。イリシアコスAOはこの地区にある総合型スポーツクラブの中のバスケットボールチームである。

 イリシアコスAOの男子のトップチームは2000年以降は2016年までは1部から4部まで昇格・降格があったが、そのうちほとんどのシーズンはギリシャ国内リーグ1部または2部に所属することが多かった。視察当時は1部に所属しており、その公式戦がホームアリーナであるというので観戦しに行った。このあたりはアテネ大学などがあり、大学生の住民が多いこともあってあまり「高級」といった趣きではない。なんとなくうら寂しい印象を受けた。

 イリシアコスAOのホームアリーナはこじんまりとしたもので、サイドライン沿いの片側にのみ観客席があるだけである。従って、ホームチームのファンもアウェイチームのファンも同じエリアで応援することになり、試合展開等によってはエキサイトしやすいギリシャのファン同士の衝突などトラブルの恐れがある。そこで、そうしたトラブル防止のための対策として警察官が多数配置されている。ざっとみたところ、アリーナの外と中にそれぞれ少なくとも30人ずつはいたと思われる。

 さらにホームチームのファンが座る側とアウェイチームのファンが座る側を左右に分けて、なんとその間に警察官が座る(写真1)。警察官がこのアリーナの観客席のある種のパーテイションのような役割を果たしているわけである。しかもこの警察官が日本でいうと機動隊の人達が持つような盾(ライオットシールド)とヘルメットを用意しているのである。

写真1 イリシアコスAOのアリーナの観客席に配置された警察官

入口付近にもあからさまに警察官が待機している(写真2)。

写真2 イリシアコスAOのアリーナ入口付近の警察官

 見ていると、一部のファンの人達は警察官に導かれ特定の場所に座らされていた。おそらく、良く知られた熱狂的なファンの人達なのだろうと思われる。敵のチームのファンの座席から離れたところの2Fの一角に着席するよう指示されていた。

*ギリシャ編その3に続く。

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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]

●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ

twitter@ichiro_demachi

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