ヨーロッパの

バスケットボール

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【ロシア編 2】

2. ロシアNo.1ユースはどのように選手を育てているか 〜チェスカ・モスクワその2〜 

「チェスカ・モスクワの副社長のフラエバ・ナターリヤ氏と同じく副社長のユルコフ・ユーリ・ミハイロビッチ氏、U-18チームのヘッドコーチのアレキシィ・ズコフ氏並びにアシスタントコーチのレオニド・スピリン氏へのインタビューからの記録で、ロシア編1の続きである]

 特に16〜17歳の練習の時に一番大事なことは、その練習は何のために行っているかについて選手が頭を使うことである。受け身で練習してはいけない。試合のどの場面で使うかということを常に考えながら練習する必要がある。そして動きのバリエーションをたくさん持つことも大事である。ディフェンスの状況に応じて対応していくためである。それぞれの状況での判断力を養成することが大事である。 指導の際はゆっくり正確にやることから始めてだんだんスピードをつけるという順番が大事である。若い選手は慌てるのでまず最初に動きを頭に入れることがファーストステップとなる。

 チェスカ・モスクワのユースチームでは個人の攻撃能力を上げるためマンツーマン・ディフェンスでの攻防を重視している。より端的には1対1の攻防の技術が重要だと考えている。その一方でピックアンドロールの攻撃のバリエーションは6〜7種類教えている。またピックアンドロールに対するディフェンスは4種類教えている。ショー、スライド、スイッチそしてダブルチームである。16歳ぐらいの子どもの場合ピックアンドロールについてはオフェンスは多少知っているが、ディフェンスのしかたは良くは知らないということが多いのでしっかり指導している。

  (写真)チェスカ・モスクワのU-18の練習の様子

 現代の子どもたちを見て、以前と比べて気になることがいくつかあるという。まず体力(スピードとパワー)に関しては今の子どもより旧ソ連の時代の方があったことである。また忍耐力も以前の方があったと感じる。旧ソ連との違いで言えば以前は国営のスポーツクラブが多かったこともあり、今は経済的に苦しい家庭の子どもはスポーツがやりづらい時代になった。

 また育った地域による子どもの差もある。今のモスクワの子はバスケットボールよりも他のスポーツをしたがることが多い。特にアイスホッケーが人気である。対して地方の子どもの方がバスケットボールに一生懸命向き合う傾向がある。そして今まさに指導者側が取り組まなくてはいけない問題として、SNS、睡眠不足、学校の成績低下、バスケットボールへの臨み方(姿勢)、視力低下、集中力低下が挙げられる。携帯電話は食事やチームの活動時は使用を禁止しておりスタッフが預かるなどの対応はしているが、チェスカ・モスクワとしては上記の問題群に対して練習後に一人一人フォローし説明するなど、適切に対処しようとしているという。

*副社長の方々にうかがったコーチの採用の基準や評価の仕方については別な機会に記したい。また経営面における、売り上げの内訳や予算の額、ホームゲームの集客率を上げるための工夫やマーケティング等についても別な機会に記したい。

*BCヒムキの視察データは別な機会に記したい。

*ロシア・バスケットボール連盟幹部へのインタビューの結果も別な機会に記したい。

ロシア編1 ロシア編2 ロシア編3

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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]

●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ

twitter@ichiro_demachi

*このページに関するお問合せやお仕事のご依頼はこちらまでお願いします euro@demachi.net

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