【セルビア編3】
3.セルビアを代表する「赤い星」 〜ツルヴェナ・ズヴェズダ〜
ツルベナ・ズヴェズダはベオグラードにあるクラブである。セルビアではビッグクラブの一つに数えられる。ツルベナ・ズヴェズダというのはセルビア語で「赤い星」の意で、現地では「レッドスター」と呼んでも通じる。サッカー部門の方が世界的には有名かもしれない。女子のバスケットボールのセクションもある。ツルベナ・ズヴェズダのトップチームは男女ともユーゴスラビアリーグ時代から優勝回数の多い古豪である。セルビアのビッグクラブの中でもかなり環境が整っている方に分類される。
ツルベナ・ズヴェズダにはU-18チームもある。男子チームはユーロリーグのU-18 の大会で優勝歴があるなど欧州全体でも活躍している。ただし、いまU-18と表記したが、ABAリーグ(アドリアティックの方)のジュニア版の規定はU-18ではなくU-19なので、両大会ともU-18に該当するほぼ同じメンバーをベースしながら、必要に応じてトップチームの18〜19歳の選手を混成している。こうした事情があるものの、この節では混乱を避けるためU-18と統一して表記する。
ここではU-18男子チームのある日の練習を紹介したい。これはこの日2回目の練習である。12人で行っていた。まずコートをドリブルでゆっくり往復する。冬(2月)の午後4時からの練習であったが、なぜか照明をつけていなかった。そのあとスリーメン・ファーストブレークドリルをこれもゆっくり行なった。ベーシックな動きのもので、各組片道ずつであった。次に同じ動きでランニングシュートではなく、ジャンプショットで終わる形に移行した。その次は最初の3人の配置は同じだが、センタリングした選手はパスをもらいドリブルしてミドルライン上をフリースローライン付近まで進みジャンプショットを打つ。両サイドを走る選手は、ボックスアウトをする/されるの状態になり、リバウンドを争う。
写真 ツルヴェナ・ズヴェズダU-18チームの練習の様子
次はまた1往復動くのだが、往きはクリスクロスをして、戻りはベーシックなスリーメン・ファーストブレークドリルとなる。これが終わるとボールを置いて、サイドラインに立つ。軽く走りながら腕を回したり、上半身を動かしたりして身体をほぐしていく。スタッターステップとスプリントランを繰り返したり、バックペダルと組み合わせたりしていく。やはりこのあたりはツルベナ・ズヴェズダのトップチームのウォームアップと似ているのが面白い。練習開始からの経過時間はここまでで30分強である。このあと5 on 0で速攻やアーリーオフェンスをしていく。規則性は低い。各組1往復するが、戻りは流れの中でスクリーンを使ったハーフコート・オフェンスをする。ほぼフリー・オフェンスと言って良いと思われた。
給水の後、フルコートで4対2、4対3、4対4を順にこなしていった。シューティングのあと、フルコートで5対5を始めた。27分ほど経ってフリースローを挟み、ハーフコートの5対5に移行した。これはどちらかというと動きの確認で途中からほぼ説明だけになった。ここまでがこの回の練習である。
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*セルビアには複数回訪問し、いくつかのクラブを視察・調査したので、他のクラブについては別な機会に記したい。
*またセルビアバスケットボール連盟にて、セルビア国の育成システム、セルビア・ナショナルチーム、セルビア国内トップリーグ等について、複数の担当者に詳細なインタビューを行ったが、これは別な機会に記したい。
[関連動画]ヨーロッパのバスケットボール[ツルヴェナ・ズヴェズダ]<前編><後編>はこちら↓
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
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