【セルビア編4】
4.熱心なファンが支えるクラブ 〜OKKベオグラード〜
OKKベオグラードはその名の通り、セルビアの首都ベオグラードで活動するクラブである。総合スポーツクラブの一セクションとなる。トップのチームはセルビア男子一部リーグに所属していることが多い。まずはOKKベオグラードの育成組織について説明する。育成組織は年にもよるが表10−1−1のような構造が原則である。
表 OKKベオグラードの育成組織の構造
カテゴリー |
1週当たり練習 |
U-18 |
ファーストチーム |
U-16 |
ファーストチーム |
U-16 |
セカンドチーム |
U-15またはU-14 |
ファーストチーム |
U-15またはU-14 |
セカンドチーム |
U-13またはU-12 |
ファーストチーム |
U-13またはU-12 |
セカンドチーム |
練習回数はコーチの判断により1日1回または2回行う。原則としてヘッドコーチ一人で練習と試合を取り仕切り、アシスタントコーチを置いていないようだ。また、U-13より下のチームは実際にはバスケットボール・スクールとの中間のような活動だという。
OKKベオグラードはクラブの予算が少ないため、トップチームは外国人選手とはあまり契約しない。正確に言うとできない。契約するとしてもあまり高額ではない選手を選んでいる。セルビア人の選手に関しては若手選手や無名の選手と多く契約して支出を抑制している。さらに練習生を普段の練習に参加させることによって、全体の契約選手数を減らすといった施策も行われていた。
ここではOKK ベオグラードの U-16チームの試合の様子を伝えたい。世界トップレベルの選手を輩出するセルビアの育成年代の試合の様子はどのようなものであろうか。これは2月のある日曜日にベオグラード市内の体育館で行われたものである。両チームの選手数は11人と12人であった。両チームともヘッドコーチのみでアシスタントコーチや他のスタッフは見当たらなかった。選手の保護者と思しき人達を中心に20名から30名の観客がいた。古いためか暖房はなく、コートを着たまま応援していた。試合内容の特徴に関しては、ドリブルアクションがやや長い印象を受けた。またディフェンス時では、抜かれそうになるとすぐファールで止めるプレイがよく見受けられた。セルビアのトップリーグで良く見られるこのプレイがU-16でも同様に行われていると感じた。審判は二人制であった。プレイの予測ができており、比較的上手であるとの感想を持った。
*この試合を視察して最も印象に残ったことは他にもあるが、それは別な機会に記したい。
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*セルビアには複数回訪問し、いくつかのクラブを視察・調査したので、他のクラブについては別な機会に記したい。
*またセルビアバスケットボール連盟にて、セルビア国の育成システム、セルビア・ナショナルチーム、セルビア国内トップリーグ等について、複数の担当者に詳細なインタビューを行ったが、これは別な機会に記したい。
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
*このページに関するお問合せ euro@demachi.net
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