【スロベニア編2】
2.スロベニアの強豪 〜ツェデビタ・オリンピヤ〜
次はツェデビタ・オリンピヤのトップのプロチームについてである。今回は合併前のぺトロール・オリンピヤ側を中心に記述するので以下ぺトロール・オリンピヤと表記する。
ぺトロール・オリンピヤのプロチームはスロベニア国内リーグ男子一部に所属していた。2019年の合併前までに17回の優勝を数え、優勝回数2位のクルカ(7回)を大きく引き離している。ユーロリーグ出場経験も多数ある。視察した年は、ユーロリーグとABAリーグとスロベニア国内リーグに出場していた。ABAリーグというのは、アメリカのマイナーリーグではなく、アドリアティックリーグのことである。これはアドリア海沿岸にある国のクラブを中心とした国際リーグである(ただしイタリアのクラブは参加していない)。スロベニアの他には、クロアチア、マケドニア、モンテネグロ、セルビア、ボスニアヘルツェゴビナなどの国内成績上位クラブが参加する。以前はイスラエルやチェコのクラブも参加したことがある。
さて、この3つの大会にどのようにして出場しているのであろうか。シーズンの最初は、水曜(または木曜)にユーロリーグの試合を行っていた。そして土曜日を中心にしてABAリーグが開かれる(当時)。では、スロベニア国内リーグはというと、前年の成績上位チームはファーストラウンドの出場が免除されている。そしてシーズン後半になるとABAリーグは終るのでその頃からスロベニア国内リーグに合流するという仕組みである。
写真 ぺトロール・オリンピヤのホームゲーム(ユーロリーグ)
2016−17年シーズンからスロベニア国内リーグに各クラブともシーズンの当初から参戦するようにフォーマットが変更になった。そのため、ABAリーグとユーロカップと合わせ、3つのリーグ戦を同時にこなしていくというハードなスケジュールとなった。2017−18年シーズンはユーロカップではなく、バスケットボール・チャンピオンズ・リーグという大会に出場し、このシーズンも初めから3つのリーグに併行して出場している。
このぺトロール・オリンピヤのプロチームの練習は通常は1回あたり1時間30分〜2時間程度行う。試合の次の日などは、年長の主力選手は1時間、若い選手や控え選手は2時間練習するのが原則であった。その際はフリスビーを使って楽しくリラックスしながら身体をほぐすことなども含まれる。試合の翌日に限らず、練習の中にリラックスしたり遊びの要素を取り入れるタイプのヘッドコーチのようであった。試合当日は1時間練習していた。ストレッチング、シューティング、システムの確認をして試合に備えていた。また、ぺトロール・オリンピヤのバジェットは育成組織の部分等を除いてプロチームの部分だけで2,000,000ユーロとのことであった。
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*ぺトロール・オリンピヤのプロチームの練習の記録や、スロベニア・バスケットボール連盟の複数の幹部への詳細なインタビューの結果は別な機会に記したい。
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
*このページに関するお問合せ euro@demachi.net
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