【スロベニア編3】
3.スロベニアの強豪 〜ツェデビタ・オリンピヤ〜(その2)
(「スロベニア編2」のつづき)
今回も合併前のぺトロール・オリンピヤ側を中心に記述するので以下ぺトロール・オリンピヤと表記する。
ぺトロール・オリンピヤのプロチームは地元の人にどれくらいの支持を得ているのだろうか。このことを見るために、表 1にホームゲームにおけるシーズンごとの平均観客数を算出してみた。
表 ぺトロール・オリンピヤの1試合当たり平均観客数
シーズン |
ユーロリーグ |
ユーロカップ |
ABA リーグ |
2010-11(年) |
12363(人) |
― |
(2733)注1 |
2011-12 |
6439 |
― |
― |
2012-13 |
6400 |
― |
― |
2013-14 |
― |
3575 |
― |
2014-15 |
― |
3529 |
― |
2015-16 |
― |
2763 |
1862 |
2016-17 |
― |
1840 |
1358 |
(注1:11〜12月に行なわれた3試合のみの参考データ)
これを見るとユーロリーグが一番人気が高く、その次にユーロカップ、そしてABAリーグと続くことがわかる。各リーグで人気の違いがあると言える。また、全体的に見ると観客数は減少傾向のようだ。2015−16年シーズンと2016−17シーズンで言えば、ABA リーグはほとんどのホームゲームが土日開催でユーロカップは全て平日開催だったにも関わらずユーロカップの方が観客数は多かった。また2010−11年シーズンの ABA リーグの11〜12月の3試合の平均観客数は2733人だったので、ユーロリーグとの差は1試合あたり約1万人もあることがわかる。対戦相手が中央ヨーロッパ周辺のクラブよりも、その他の欧州のクラブの方が観客の人気が高いのかもしれない。また、ユーロリーグとユーロカップを比べるとユーロリーグの方が競技水準が高いことから、対戦相手が強い方が観客はアリーナに足を運びやすいとも思われる。
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ではある日のトップチームの練習を見てみよう。この日は試合の2日後で翌日にも試合を控えている日であった。つまりこの日は金曜日で、一昨日の水曜日に試合があり、明日土曜日にも試合がある、という日程であった。
まず明日の試合に向けて30分ほどビデオを見た。その後コートに集まり5分ほどヘッドコーチの話を聞き、ドリブルしながらウォームアップを始めた。このとき別なコーチが選手の横で動きの指示を出していく。選手は動きの中でその声を聞きながら次々と取り組んでいた。続いて、ドリブルしながら鬼ごっこをした。その後、ストレッチングを行った。スタティックとダイナミックの両方で構成されていた。
水分補給のあと、3人でのクリスクロスを行った。片道だけである。反対側のベースラインで並んでいる選手のうち両端の2人の選手がボールを持ち、全員がシュートできるようにパスをする。途中から時間を計り、その間に何本入れられるか、という形に移行した。
コートに入ってから30分ほど経過したのち、ハーフコートでの 5 on 5を始めた。約束事の動きとしてはピックザピッカーやトップオブザキー周辺でのハイピックアンドロールなどが目についた。17分ほど経って、フルコートの 5 on 5を練習し始めた。点数が入るごとに一度止め、ポイントを確認していた。特に点数も時間も計らず行なっていた。これを30分ほど行い、二人ペアでのシューティングに移った。10分ほど続けてこの日の練習は終了となった。この日の練習時間はコートに出てからは1時間28分ほどであった。
次に練習と公式戦でみられたプロチームのセットをいくつか紹介したい。一つは横方向のスクリーンからピックアンドロールを行うものである(図1)。ハーフコートの上部を使うセットである。
図1 ぺトロール・オリンピヤのセット1
もう一つはスタッガード・スクリーンを使うものである(図2)。#2に対し、#3のディフェンスがヘルプに来た場合は#3にパスを出し3ポイントショットを打たせる。
図2 ぺトロールオリンピヤのセット2
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*スロベニア・バスケットボール連盟の複数の幹部への詳細なインタビューの結果は別な機会に記したい。
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
*このページに関するお問合せ euro@demachi.net
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