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【スペイン編 3】

3.育成組織は欧州一か世界一か 〜エストゥディアンテス〜

 エストゥディアンテスはマドリードにあるバスケットボールクラブである。男子のトップチームは創設以来約60シーズンの長きに渡りスペイン1部リーグに所属している。スペイン1部リーグにしか所属経験がなく2部リーグの所属シーズンが無いクラブは他にはレアルマドリードとホベントゥート・バダローナのみという希少な記録である(2020年現在)。エストゥディアンテスではセルヒオ・ロドリゲス選手などがかつてプレイしていたこともある。

 エストゥディアンテスには特筆すべきことがもう一つある。それはカンテラ(育成組織)である。すなわち、エストゥディアンテスの育成組織は非常に大規模だということである。視察時は育成組織に子どもが約1000人所属し、30チーム以上に分かれて練習していた(年によっては40チーム以上になるという)。例えば、前述のFCバルセロナの育成組織の選手数は約50〜60人であるからその規模がわかるのではないだろうか。スペインはもちろん欧州でも最大級の規模と考えられる。プロチームの育成組織としては、もしかすると世界でも最大級かもしれない。

 エストゥディアンテスはもともとラミロ・デ・マエストゥという学校に起源があり、この学校の生徒が中心になって1948年に作られた。ラミロ・デ・マエストゥは今も存在し、ここの体育館やアリーナでエストゥディアンテスは練習や試合を行っている。エストゥディアンテスというのはスペイン語で「学生・生徒」に相当する語であるが、この名称の由来はこうした設立の経緯から理解できよう。さらにこのラミロ・デ・マエストゥの前身はインスティトゥート・エスクエラという学校で、この学校のバスケットボールチームは1920年代後半にはあり、レアル・マドリードのバスケットボールチームはこのインスティトゥート・エスクエラと対戦することをきっかけに設立されたという歴史がある(1931年)。

 視察した範囲では施設内に少なくともコートは8面ある。屋外のコートもある。平日の夕方ともなるとほぼ全てのコートで育成組織のチームやスクールの練習が行われている。各チームにコーチが一人とアシスタントコーチが一人いるという。見たところ若いコーチが多いようだった。またフィジカルトレーナーが5チームごとに一人ずつ配置されているとのことである。12歳以下の子どもはゴールを下げて小さいボールで練習しているという。1回あたりの練習時間は1時間から1時間30分程度でどんどん次のチームが練習していくようだ。例えば、6歳から12歳は1回1時間で週に2回練習するとのことである。視察した範囲ではどの年齢の練習でも非常にベーシックな部分を重視しているように感じられた(写真)。

 写真 エストゥディアンテスの育成組織の練習の様子

関連動画はこちら↓

 

スペイン編1 スペイン編2 スペイン編3 スペイン編4

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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]

●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ

twitter@ichiro_demachi

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