【トルコ編 1】
0.トルコってどんな国?
トルコは地理的にはヨーロッパとアジアの境目に存在する。FIBA(国際バスケットボール連盟)の中ではFIBAヨーロッパという欧州を管轄する部門に属しているのでこのサイトでは扱う対象とする。面積は約78万平方キロメートルで日本の約2倍。人口は約8200万人(2018年)。首都はアンカラ。産業割合
サービス業(59.2%),工業(24.3%),農業(4.9%)(トルコ財務省)。通貨はトルコ・リラ。気候は地中海気候、大陸性気候など。
バスケットボールの面では代表は男女とも世界上位レベル。国内リーグは男女とも欧州内でも高水準。ここ10―15年くらいのレベルアップはかなりものと感じられる。
1.トルコの大手ビールメーカーがバックアップ 〜アナドル・エフェスSK〜
アナドル・エフェスSKはトルコの首都イスタンブールにあるクラブである。トルコに4つあるビッグクラブの一つである。トップチームはトルコ男子一部リーグで多数の優勝経験がある。育成組織については18歳以下の年代では表のように区分して活動している。
表 アナドル・エフェスSKの育成組織の呼称と区分
呼称 |
年齢 |
ゲンチ |
17―18歳 |
ユルドゥズ |
15―16歳 |
キュチュク |
13―14歳 |
キュチュク-B |
13―14歳 |
ミニック-A |
12歳 |
ミニック-B |
11歳 |
ミニック-C |
10歳 |
例えば、このアナドル・エフェスSKのキュチュクとキュチュク-Bは各々が別のチームとして大会に出場している。このようにそれぞれの年度の状況に応じて各年代でのチーム数やチーム編成を調整し、柔軟に対応している。
その育成組織の練習に関してここではゲンチ(17〜18歳)のある日の練習の様子を記したい。この日は日曜日の午後である。選手は13人で練習していた。見た感じでは一番小さい選手が180cm程度で、2m超の選手は少なくとも4〜5人いた。コーチはヘッドコーチとアシスタントコーチの二人である。
ストレッチングをした後シューティングを行う。ベースラインに2列に並び、弧を描くように動いてボールをレシーブしレイアップを打つ。ベビーフック・シュートを打っていく。次に同じ配置からフリースローライン付近でボールをレシーブし1ドリブルショットを打つ。自分が並んでいた側にドリブルをする。ドリブルはかなり力強かった。
その次はフルコートで1 on 1を行う。 オフェンスはコーナーに立ち、ディフェンスは反対側のサイドライン上(フリースローラインの延長線上くらい)に並ぶ。笛の合図でスタートする。
次はフルコートの3 on 3である。 ゴール下に一組立ち、センターライン付近に後の2組が立つ。コーチがバックボードにボールをぶつけたところから始める。1往復で交代する。
次は2チームに分かれてシュートの競争をする。各チームはセンターポイント(サイドラインとセンターラインの交点)に並ぶ。そこから一人ずつフリースローライン付近に向かってドリブルをしてジャンプショットを打つ。負けたチームはシャトルランを行う。
次は1 on 1を行う。フリースローラインの中央にコーチがボールを持って立つ。選手はフリースローラインの両端に一人ずつ立つ。コーチがシュートを打ち選手はリバウンドを争う。リバウンドを取った選手がオフェンスとなり一度コーチにボールを返した後ウイングでボールをもらおうとする。リバウンド取れなかった選手はディフェンスとなりディナイをしてボールをレシーブさせないようにする状態から1 on 1を行う。
次にこれを2対2で行う。原則的な動きは一緒だがリバウンドをとった側がオフェンスとなり攻めた後、ディフェンスは逆側のゴールに攻め返して一区切りとなる。リバウンドの際はボックスアウトを強調していた。フリースローを1人15本ずつ打ってこの日の練習は終了となった。この日の練習時間は1時間7分であった。
関連動画はこちら
*フェネルバフチェ、ガラタサライの視察・調査の内容は別の機会に記したい。
*トルコバスケットボール連盟にて、トルコのプロリーグのシステム、トルコの国全体の育成年代の仕組み等について、複数の担当者に詳細なインタビューを行ったが、これは別な機会に記したい。
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文責:出町 一郎(でまち・いちろう)
[バスケットボール研究者・バスケットボールコーチ・大学講師]
●東京大学大学院博士課程出身(スポーツ科学,教育学)
● 元プロバスケットボールチームコーチ
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